唯

セールスマンの死の唯のレビュー・感想・評価

セールスマンの死(1951年製作の映画)
3.4
常に暗くて陰鬱とした表情を浮かべているところからして、そりゃあ人生仄暗くなるよなと。
愛する妻がいて二人の子供に恵まれて、十分幸せなはずだろうに、本人の捉え方によって不幸たらしめている。

母が夫のことを全面的に支持するのがやはり理解できない。
威張り散らしては妻を粗末に扱うというのに、どうして文句も言わずに献身的でいられるのか。
というか、妻が夫の傍若無人ぶりを容認しているから、本人は非に気付けず気を大きくしてわがままに振る舞ってしまうのだ。
夫本人には真実を言えないから、子供に愚痴をぶちまけるのも親としてどうなんだ、、。
その一方で、夫は稼ぎがないと知ってるのに、お金前借りして来てね♡と明るくぬかすのがまた怖い。

ウィリーは、子供の文句は言えるが、仕事での愚痴は言えない。
これは男性ならあるあるなのだろうなあ。
男たるもの弱音を吐けない、というのは男性の辛いところ。

こんなにも尽くして来たのだ!誰か認めて!褒めて!と承認を求め続けるウィリー。
自分の非を認められないし、自分は大物であるからと傲慢に全てを見下す。
他者と比べて嫉妬しては、人の善意を素直に受け取れない。
そうやって人生を窮屈にしている。

ビフの自己肯定感の低さは、父の影響であることは言うまでもない。
先に裏切ったのは父の方であり、傷ついたのに父は自分とも息子とも向き合えない。
ビフは父の不貞を知っているがために軽蔑してもいるわけで。
ビフが何をしても上手くいかないのは、存在承認ができていないから。
自分が生きている価値を見出せないから。
アダルトチルドレンの典型だよね。

ダスティンホフマン版に比べると割とあっさりしている。
唯