私は売れっ子のミステリー劇作家である。賞も取った私の代表作は、未だにその観客動員記録が破られていない。しかしもうそれは過去の栄光だ。このところ調子が悪く、最新作の初日の批評は最悪で、誉めてくれる批評家は一人もいなかった。ひどく落ち込んで帰宅した私を妻は慰めてくれたが、気分は晴れなかった。
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そんな私に、素人作家から脚本を見てくれと原稿入りの書類が届いた。こういう事はよくあるのだが大抵ロクなものではない。けれどその脚本は驚くほど面白くて完成度の高いすばらしい作品だった。読めば読むほど傑作と思わずにはおれない。作者はなんと、私が開いている「脚本の書き方講座」の受講学生だった。
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私はひらめいた。この作品を私の新作ということにしてしまおう。この作者を亡き者にするのだ。その算段のための独創的なアイデアを考えるのは職業柄得意だが、実行するのは初めてだ・・・
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とても分かりやすい犯行の動機から始まる、ミステリーのようなブラックコメディ作品。ワンシチュエーションものの会話劇ならではのどんでん返しの連続なので、最終着地点を予測できる人はまずいないでしょう。なかなか面白かった。
