ひろ

バーバー吉野のひろのレビュー・感想・評価

バーバー吉野(2003年製作の映画)
3.7
「かもめ食堂」の荻上直子監督の長編映画デビュー作品である2003年の日本映画

ベルリン国際映画祭児童映画部門特別賞を受賞した

古い慣わしを守り続ける田舎町に、都会から来た転校生がやって来て、町に変化が訪れる。これはまさに「フット・ルース」のような展開であり、普遍的に描き続けられてきたテーマだ。

東京からの転校生、友情、初恋、エロ本と、今まで何度も観たことがある内容である。ただひとつ大きく違うのが、子供たちがみんな同じヘンテコな髪型をしていること。

ベタな内容にひとつだけシュールを足すという手法は、けっこうよくあるんだけど、そのひとつ足すもので、監督のセンスが問われる。この“吉野ガリ”というシュールさは見事にハマった。小学生の成長物語に、なんとも言えない味わいをもたらしている。

小学生の男子の描き方がよかった。女性監督なのに男の子をよく解っている。悪いことを一緒にするドキドキ感やエロ本をみんなで見るという通過儀礼など、男子諸君はみな笑ってしまうだろう。

荻上作品では不動の存在となっているもたいまさこ。他の作品に比べてよく喋るし動く。荻上作品では、少しずつ台詞が減っていくにつれて、存在感がアップしていくという不思議な現象が起きている。こういうもたいまさこも新鮮で笑えた。

荻上監督が知られるようになった最近の作品とは、作風が違うけれど、ほのぼのとしたものを描くという点では似てるし、違った味わいもあるから、他の作品を観て気になってる人も、荻上作品未体験の人も観てみるといいよ。
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