桃色

ペパーミント・キャンディーの桃色のレビュー・感想・評価

2.0
フォローさせていただいてるレビュアーの皆様の評価が高い作品だったので見てみることに。

ただ、監督、脚本がイ・チャンドンさん。私、なかなか彼の世界観を理解できなかったあの「バーニング」を思い出すんですよ。
どこ? どこ? と自分の感受性が乏しいのかと困惑しながら背中に汗をかくような焦燥感の中で観たあの「バーニング」
そもそも大勢のハルキストの方々に申し訳ないんですが、村上春樹氏の作品を読むことができないんですね。なんと言ったらいいんだろう… 読みながら頭の中に広がる私のイメージを必ずあとからの文章で叩き壊されるという感じがあってね、いつも越えられない。

まぁ、この村上氏の原作が元じゃないし、オリジナル脚本だし、評価高いし(バーニングもここでは高いですね)頑張ってみよう、私。

みなさんのおっしゃる通り死に際の走馬灯の話ですね。
後悔の中、自死する道を選んだ結末に恨み節のように重なる過去。
ここに映像化されたのは彼の後悔が強く滲むシーン。
何でもかんでも「誰か一人を道連れに」の台詞よろしくなんだか「他人のせい」と言ってしまう負け犬そのものを描いてました。
彼は最後は過去の清らかだったと思える自分に戻って満足の涙を流したのかな。

初恋のスニムとの病室での再会がこの走馬灯には大きな影響を及ぼしているんでしょうね。スニムさんだけが純粋な彼を知る人物だから。
でも彼女との思い出のカメラをさっさと売り払い生活の足しにしちゃう…こんな程度の人との関わりしか持てなかったことが彼の人生の寂しさなのかも。
でも、あんな別れをしておいて身勝手な奴!と、女性はきっと私と同じ気持ちだと思いますよ。

人生には色々なことがあって、あの過去に戻る線路の映像のように様々な分岐点もあるわけで、誰もがきっと、あの時に戻りたいと願うポイントがあるのでしょう。
でも、今の自分はそれを選択しなかったからなれた自分。
自分に自信を持つことはできなくても、少しだけでも自分を許すことくらいして欲しかった。

ということで、今回も背中に焦燥感が漂う自分です。
感受性欠乏?
正直、辛い映画だし 救いはどこ? どこ?

救いはね、あの主人公を熱演したあっぱれ!なソル・ギョングさんが役者さんだと知ってることかな。架空のお話だよってことが救いだった私です。
桃色

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