河

映画というささやかな商売の栄華と衰退の河のレビュー・感想・評価

3.8
映画産業を官僚社会として戦争やその後の工場と重ね合わせつつ、テレビ番組としてその映画の外部から描いた映画

世界大恐慌みたいに人が順番待ちしてるところから、赤い服をきて独裁者のように振る舞うジャンピエールレオーと、オーディションとして強制収容所のように順番に並べられて命令される役者たち、the party is over(党 / パーティは終わり)からの今度はスーツ着て工場長のように振る舞うジャンピエールレオーと、撮影としてベルトコンベアーのように順番にカメラの前を通らされる役者たちって形で、映画の撮影プロセスが官僚社会の歴史の比喩として、かつ映画づくりを官僚社会として描く

ジャンヴィゴが改名前の名前で報道されるシーン、ジャンヴィゴが死なずにヌーヴェルヴァーグのプロデューサーとして活躍していて改名前の名前を使っているってことは、アナーキストだった父親は殺されていなくてジャンヴィゴもアトランタ号作ってる時に映画会社からの圧力がなかったことになる

そのシーン以降、ジャンピエールレオーは失墜していて、同じ場所でのオーディションが抑圧的なものから個性を活かせるようなものになるから、映画産業の衰退は近代的な官僚社会の衰退も意味してるってことなのかもしれない

フォーカスが合わないって意味でのディゾルブ、2つの画面を共存させるためのディゾルブ、スローモーションの巻き戻し、スロー再生、一時停止、急に電波途切れたみたいに音を一瞬消す、後から合成したような音声がその場で発されるものとして入る、カメラを探して覗き込んでくる女性、ビデオ的な画面の揺れ、みたいに撮影されたものをビデオで編集している人が鑑賞者と映像の間に存在してることを無理矢理意識させられる演出が詰め込まれていた ビデオもしくはテレビが見てる自分の主観をジャックしたような感じで見てて楽しかった

挨拶のキスのシーンからの急に入るFRENCH KISSって書かれた船の画像からのSSにズームしてからの謎の白文字SSがかわいかった あとからセリフでSS officer、ナチス親衛隊のことだったことがわかった 踊るカラーバーもかわいかった
河