ミッキン

赤ひげのミッキンのレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
4.6
一昨年の今くらい。黒澤・三船コンビの作品を見まくった。『七人の侍』から順不同。最初は面白かったが、『白痴』は長いだけで超絶ダルかった。
本作も3時間。イマイチ触手が動かず長い間放置。途中眠たくならないように昼寝をした後で満を持しての視聴である。

結論から言うと、全然退屈しなかった。もっと観てられる、そう思えるくらいいい作品だった。

最初は加山雄三の滑舌の悪さと一本調子な演技が目に余った。嫌味な役どころもあってイライラさせられる。
前半だけならレビューの点数も4以下だっただろう。
しかし、さすがは黒澤作品。拗ねてる奴はだいたい改心するパターン。途中から保本という男が一気に魅力的に思えてくる。
もちろん世界のミフネは安定の仕上がり。一見気難しいそうでいて優しさに溢れた初老医師を巧みに演じている。
黒澤明のヒューマニズムがどの人物にも注入されていて、それぞれが愛おしい。

前半の弥七のくだりも良かったが、後半のおとよを中心に回る展開の方がグッとくるものが大きい。
『酔いどれ天使』に通じる人間成長記としての面白さが詰まっていた。