円柱野郎

銀河英雄伝説外伝/わが征くは星の大海の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

田中芳樹の同名SF小説を原作に「惑星レグニッツァ上空の戦い」と「第4次ティアマト会戦」を描いた劇場版第1作。

あまりにも長大なシリーズの、それもごく一部を切り取った話だけど、60分という映画にするにはかなり頑張って詰め込んだ感じ。
登場人物の紹介も最小限だし、お互いの組織やイゼルローンという地勢についての説明もほとんど無く、鑑賞以前にこのシリーズに触れているかいないかでずいぶん印象が違ってしまうんじゃないだろうか。
今後続くOVAシリーズの為の紹介映画のような立ち位置なので、そういう説明を減らしたスタンスでも良いとは思うけども、1本の作品としてはいささか不親切ではあるかな。

でもアニメ版の「銀河英雄伝説」の演出方針はこの時点で完成されているし、貴族達に疎まれながらも部下に慕われるラインハルトや、無能な上官に辟易しているヤンといった、シリーズの要素は上手く描かれている。
なのでこの映画だけを観ても何となく全体の作風が分かるのも事実。
そういう意味ではパイロット版として、成功はしていると思う。

俺はOVA本編を観た後にこの映画を鑑賞したんだけど、そうすると後々死んでいく人物達がまだ元気に登場していて、それはそれで感慨深いものがあった。
そういう感覚が得られるのも、総時間4300分を超えるというシリーズの厚みと深さがあればこそか。
円柱野郎

円柱野郎