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白い巨塔のタキのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
3.9
「白い巨塔」は唐沢版から入り田宮二郎版は今回初めて見た。テレビドラマ版だけかと思ってたら1966年の映画が1番最初だったらしい。2時間半ほどの長さなのでストーリーはドラマ版を駆け足で見たような感じだが田宮二郎の目ヂカラというか顔圧というかみなぎるギラギラ感がハンパなくて見終わっても残像が目に焼き付いている。ぜったい今晩夢に見ると思う。手術シーンはたぶんホンモノの内臓を使ってた。昔の映画はこういうのアリだったんだなぁ。白黒だからマシだけどカラーだと正視できなかったかもしれない。
ドラマ版の後半部分は原作の続編にあたるそうで、映画版は正篇のラストまでが描かれていた。つまり財前五郎は傲岸不遜の教授として浪速大学第一外科に君臨したままということなのだ。そして良心の人、里見助教授は山陰大学の教授職を辞退して浪速大学を去るのだった。虚しい…。
さすがに今はこれほど権威主義で封建的なことはないだろうけど、医学部入学者の女性や浪人生差別や医師の労働条件の悪さ、無休医の問題などから鑑みるに「白い巨塔」の瓦解はまだ先の話なのだなぁと思う。「白い巨塔」というタイトルにはこのラストこそが相応しいのかもしれない。 1960年代にこの容赦のない切り込み方、山崎豊子はやっぱりスゴイ。そこから牛歩の歩みの医学部の変わらなさに問題の根深さを思い知るのだった。
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