ぜん

ビッグ・フィッシュのぜんのレビュー・感想・評価

ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)
3.9
【人を幸せにするホラ吹き父の最期】

『Big Fish』
大きな魚?
タイトルを見てどういう意味かな
と思いましたが、英語でFishは「噓つき」の意味があり、本作のタイトルである『ビッグフィッシュ』は誰も信じないホラ話という意味合いで使われているみたいです。

監督はティム・バートン
よくジョニー・デップとコンビを組んでいるファンタジー作品と言ったらこの人という監督。

本作では空想の中だけでなく、現実と空想を行き来して物語が展開しており、メッセージ性もある素敵な映画でした。

*あらすじ*
大ホラ吹きの父(エドワード)の話を小さい頃から聞き続けてきた息子のウィル。

自らが主役である結婚式でもホラ吹きで喝采を浴びる父に怒り、絶縁状態となって3年が経ったとき母サンドラから父の病状が悪化したと連絡を受け、すぐさま妻ジョセフィーンと実家に帰る。

ウィルは本当の父を知りたいと思い、
過去のことを調べる。
今まで聞かされてきた話。
そして父の人生の真実を知ることとなる。

*感想*

人を幸せにする嘘はつくべきか。
父エドワードが語る話はまるで
おとぎ話のようである。
聞く側は明らかに嘘であると思い、
その前提があるためにホラ話として
エドワードの話を楽しむ。

だが、一方でホラ話ばかりを
小さい頃から聞かされてきたウィル。
噓つきである父のことを嫌悪する
気持ちも分かる気がする。
空想を語る父に対して、
現実的な人間に育ったウィル。
エドワードがつく嘘で唯一
嫌な気分になった人間だ。

ウィルは父の過去を知ろうとすることで
父の過ごしてきた現実を知る。
そして時には現実をありのまま
伝えることが必ずしも正しいのでは
ないということを知る。
現実を知ることで父のホラ吹きが
人を喜ばせようとするためにあり、
ウィル自身のためでもあったことに
気づく。
私も同じ話をするにしてもユーモア
たっぷりに話して人を幸せな気分に
させるエドワードを見習いたいな
と思いました。


人の価値は死んだときに分かる。
生きてきた中で関わった人間に対して
どれだけ影響を与えてきたか。
エドワードは人生の一瞬一瞬を
正しい選択をしてきた人間である。
目の前の選択は自分にとって正しい選択か。
関わっている人間を幸せにできているか。
エドワードの生き方には人生のヒントが
散りばめられていました。
彼の正しい生き方によって葬式で
あれだけ多くの人間が集まったのだろう。

事実は小説より奇なり。
そういう言葉があるが、
彼の話も一部は現実であったことが
分かる。
現実でも時に予期せぬできごとが
起こることがある。
そんな時も楽しめる人間でありたい
ものです。

後味がスッキリして幸せな気分になれる
素敵な映画でした。
ぜん

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