ぜん

リトル・ダンサーのぜんのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.1
【好きには抗えない。現実には抗える。】

原題:BILLY ELLIOT

監督は『愛を読むひと』で有名な
スティーヴン・ダルドリー。

原題のタイトルでもある
『BILLY ELLIOT』
本作での主人公である。
彼を演じるのはジェイミー・ベル
2000人もの候補のオーディション
から主役の座を勝ち取った。
最近では、『ロケットマン』
にも出演して活躍中である。

*あらすじ*

舞台は1984年イギリス。
北部の炭鉱町の下流階級の家庭の
子供ビリーが本作の主人公。

亡くなったピアノをしていた
母の影響もあり音楽が好きな少年。
男ならサッカーやボクシングを
やるものだ!
そんな父の考えの元ビリーは
ボクシングをしていた。

ある日ボクシングをしていた
体育館の隣で女の子たちが
バレエをやっていた。
興味を持ったビリーは練習に参加。
彼は音楽とともに自分を表現する
バレエの虜になっていく。

*総評*

①時代背景について

1984年~1985年はサッチャー政権のもと
炭鉱の合理化が進められていた。
住んでいた町は炭鉱町であり、
主人公の家庭も炭鉱によって生計を
立てていた。
そんな家庭によって炭鉱が閉鎖されることは
生活が困窮することに繋がる。
そういう理由で市民がデモを起こしていた。
男にとって将来は炭鉱で働いて、
この街で一生を過ごすことが多数派の中、
手に職をつけて大好きなバレエをして
生活をすることは唯一の希望だったのかも
しれない。


②家族の愛

母が亡くなり、長引くストの中で
収入がない状況の家族。
そしてバレエに否定的であった父。
クリスマスの夜にビリーが父の前で
踊りを見せることで、
ビリーの才能や好きなものに対して
一生懸命な姿に心を動かされる。

自分のことはいい。
だが何としてもビリーの夢を叶えたい。
そういってスト破りをしてまで、
お金を稼ごうとする父の姿には
感動しました。

昔ながらの硬い考えを持ちながらも、
いざという時には自分の立場は関係なく、
息子のために全力になれる。
素晴らしい父親でした。

兄の見送りのシーンも泣けます。


③好きなことに正直になる

バレエと言ったら、
女性がするもの。
上流階級の人がするもの。
一般的にそういうイメージがある。

下流階級の少年がバレエをする。
世間からの目も気になるだろう。

だが、ビリーにとってバレエは、
「体が燃え上がるよう、電気のよう」
と感じる自分を表現するのに
無くてはならないものであり、
好きなものであった。

彼の才能を見出した
ウィルキンソン先生。
ゲイで一番の友人でもあるマイケル。
ビリーの前で女装をして、
好きなことをする姿。

そんな周りの人たちとの
出会いも後押しして、
自分に正直に夢に突き進む
ビリーの姿は素晴らしかったです。


また好きな作品が増えました。
ぜん

ぜん