てつこてつ

ショートバスのてつこてつのレビュー・感想・評価

ショートバス(2006年製作の映画)
3.5
実に興味深い作品。視聴できて本当に良かった。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル脚本&監督作らしいポップさと癒やしに溢れながらも性描写も潔いほどにリアル。

ジェリービーンズを詰めこんだ宝石箱のような色とりどりのネオンに輝くマンハッタンのミニチュアから始まるオープニングからして、モザイク掛かりまくりの、実に過激な描写が展開される。

端から見る限りにはいかにもお似合いのゲイカップル、夫との激しいSEXは楽しみながらも一度もオーガズムを体験した事がないという悩みを抱える恋愛セラピスト、恋人関係をきちんと結ぶことに不器用なSMの女王様を主要キャラクターに据えながら、決して赤裸々な性描写を売りにしているのではなく、彼らの台詞はいたってナチュラルだし、話の展開にも無理はないので、個人的には、カルト作品ではなく、アダルト向けの実にしっかりと作り込んだ、どこか優しい気持ちになれる恋愛ドラマ。

カミングアウトを出来ぬまま晩年を迎えてしまった老人と美青年、ドラッグクイーンとストレートの女性が口吻を交わすまでの流れが実に自然で説得力もあり、ちょっと感動した。

SHORTBUSという名前の発展場or乱交部屋が舞台となるので、男女はもちろん、男性同士、女性同士、入り交じっての性描写、女性のリアルなマスタベーション、男性の3Pなども描かれているので、その手の描写が苦手な方には視聴はお勧めできない。

Wikipediaで調べてみたらゲイカップルを演じた二人の俳優は実生活でもパートナー関係にあるとか。なるほど、深い愛情表現がリアルな筈だな。

所々に挟み込まれたり、終盤で流される緩やかなメロディーの楽曲も美しくジョン・キャメロン・ミッチェルらしい。

恋愛カウンセラーが劇中で話す「動物でSEXでオーガズムを感じるのは人間以外では、ウサギ、フェレット、バンドウイルカくらいに限られる」って説が本当なのか凄く気になる・・
てつこてつ

てつこてつ