軽々しい言葉で語りたくはないけれど、ただ純粋に、とにかく「面白い」。
どんなに時代が変わっても決して拭えない脚本と演出のインパクト。
白黒だろうが技術が現代に比べ何だろうが、やはり物語の大前提は脚本、キャラクター、演出なんだと、この映画にワクワクさせられる事で改めて思い知らされる。
ただ欲を言えば、敵役に明確なキャラクター性を持つ人物が居ればもっと侍との対峙、対決に起伏が出ただろうなと感じる。
とはいえ、敵の意思が見えないからこそ百姓の陥っている惨状に特別ではない偶発性を感じる事が出来るので、その分ラストが際立つ事もまた間違いない。
こういう展開になってほしかったというのはあくまで個人的な願望で、この脚本そのものはやはり計算され尽くした隙の無い、かつ主観性を自在に操る巧みな「芸術」だ。