hana

七人の侍のhanaのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
5.0
午前10時の映画祭7。
4K。高音質。

スクリーン上映、ずっと心待ちにしてました。黒澤明監督作品は「生きる」に続いて2作目。「七人の侍」初鑑賞です。
207分=3時間27分。
圧巻でした。
あぁ面白かったぁ〜。

平日にも関わらず席は結構埋まっていて、さすがだなぁと思いつつ。1人で観に行ったら両サイドを知らないオジ様にガッツリ挟まれてしまいちょっと肩身がせまかった笑。

間にインターミッションが入るほど上映時間が長いので、前日の睡眠時間もたっぷり目に”いざ尋常に!”と少々意気込んで観たんですが笑、全くの杞憂でした。
皆さん仰る通り、あっと言う間の3時間半。めっちゃ楽しかったです◎

戦国時代、野盗と化し次々に農村を襲う野武士たち。村を守るため百姓に雇われた、勘兵衛(志村喬)率いる七人の侍。たった七人の侍と百姓で、40人の野武士を倒せるか。

物語の大筋はシンプルでさらっと飲み込みやすい作りですが、その中で”侍””百姓”の人間としての生き様がしっかりと描かれており、それが圧倒的にリアル。時に二項対立的にぶつけられる両者の姿はかなり重量感があるもので、自然と感情移入してしまう。昔話のように遠い時代の話をぐっと自分の手元に引き寄せ、時代の隔たりを一気に飛び越えさせるこの手腕のすごさたるや。これはもう時代劇じゃないですよね。

七人をはじめ百姓に至るまで人物が皆とても魅力的なんですが、個人的に”世界のミフネ”が素敵すぎて、もうどうしたらいいのか分からない笑。
菊千代(三船敏郎)が出てくるだけで、画面がぱっと華やぐのが感動でした。粗野でボロを着崩したガキ大将のような破天荒な役柄ですが、色気と愛嬌が同居するあの独特の雰囲気が最高です。
志村喬が演じる、豪胆ながらも知性と品格を感じさせる勘兵衛との役の対比が絶妙でした。
仲間探しの終盤に出てくる、ぐでんぐでんに酔っぱらった菊千代の一連の演技がセクシー過ぎてヤバイ。そしてちょいちょい可愛らしいのがたまらないw素敵です。

中だるみや飽きを一蹴するような綿密な脚本と、魅力的な登場人物たち、随所に散りばめられた笑い、殺陣(たて)の枠を飛び越えた見応えのあるアクションシーン。観客を十分楽しませながらも決して上滑りしない、どしっと腰の据わった大作。

昔の映画だし白黒だし有名だけど今更...と二の足を踏む方も多いかもしれませんが...確かに古さもあるんですが...、内容も大変分かりやすく、深みもあればエンターテイメント性もある、純粋に面白い映画なので、お近くでスクリーン上映がある方は是非。

それにしてもミフネが素敵すぎた。
”世界のミフネ祭り”やろう笑。
hana

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