あーさん

七人の侍のあーさんのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
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先延ばしにするのはやめよう!シリーズその10

やっと!やっとやっとやっとやっと、観ることができた❗️
"犬ヶ島"で ウェス・アンダーソン先生に"それでも日本人なのか⁉︎映画好きと言えるのか⁈ " とキツくお叱りを受け、私の重い腰もようやく↑
これを観ずして、、と思いながらも前編・後編 インターミッション含む207分のハードルは思いの外、高かったのだ。。

しかし、観てみると長さは一切感じず、あの手この手で飽きさせないのはさすが黒澤明!と思わせる素晴らしい作品だった。

とにかく、映画の全部が入っている!
この一本の中に、優れた映画に必要なエッセンスがギューッと濃縮されて入っている、というのかな。
完璧過ぎて、何から書いていいか混乱してしまうほど。。

オープニングから只ならぬ雰囲気の音楽、わざと斜めに繰り出すクレジットタイトルからも、他とは一線を画した作品であることがビシビシ伝わってくる。

素人目にもカットの斬新さや、どうやって撮ったのかと思うようなシーンの数々に舌を巻く。これが世に言う"世界のクロサワ"ワールドかぁ、、こりゃー影響を受けいでか!!

それだけではない。
"人間"というものを優しく、温かく、時に厳しく、シビアな眼差しでじっくりと描き出す。
そこには、喜怒哀楽の全てを持ち合わせ、しっかりと自分の足で立つ人間の姿があった。

そう、この映画に出てくる登場人物は、良くも悪くも人間らしい。
その人間たちがぶつかり合い、せめぎ合い、そして認め合い、力を合わせ、困難に立ち向かっていく様が泥臭く、そして美しい。

前半で丁寧に描かれる、あちこちから集められた七人の侍達の横顔。
一人一人に思い入れができ、それからの怒涛の展開。。




ここから先は少しネタバレ
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パッケージにもなっている、三船敏郎演じる菊千代のキャラクターが何とも魅力的である。
お調子者でガサツで厚かましいのに、でもどこか可愛げがあって憎めなくて。いやー、唯一無二!このキャラをこれだけ自然に演じられるのは、やっぱり世界のミフネしかいない!
泥棒が立てこもった一件で、一気に百姓の信頼を得るリーダー格の島田官兵衛。志村喬のキャスティングは間違いないなぁ。。
この落ち着き、見事なまでの冷静さ。部下を信頼し、任せ、きちんと叱り、褒める。
常に周りに気を配り、味方がピンチの時は自分が矢面に立って積極的に助ける。
カッコイイ〜!上司の鏡 ♪
このダブル主演の二人は、幾多の黒澤作品に欠かせない俳優でもある。
クールに見えて、実は熱くて誠実な凄腕剣客・久蔵(宮口精二)。一番女性にモテそう。。素敵!
他にも飄々とした明るいムードメーカー平八(千秋実)、ウブな若手の勝四郎(木村功)、参謀役の片山五郎兵衛(稲葉義男)、官兵衛の元家臣・七郎次(加東大介)、、


たまたま志を同じくして集まった7人と百姓たちが、村を襲う野武士40人をどうやってやっつけるのか?

合戦のシーンは、ドキドキ・ワクワクが止まらない!

風車小屋のシーンで菊千代が見せた何とも言えない切なさ、大胆に勝四郎を誘う村娘志乃の見開いた目、なんでそこで、、一人また一人…と減っていく仲間の無念さ、旗に描かれた皆の志、野武士に囚われていた女の哀しみ、、

全編通して侍たちの人となりやチームワークの素晴らしさをユーモアと迫力たっぷりに描きながらも、百姓の置かれている立場の過酷さ、やるせなさ、そしてそれ以上に跳ね返す逞しさにグイグイ魅せられるのだ。

もう、完敗!圧巻!

黒澤先生、参りました。。

ウェス・アンダーソン先生、まだまだこれからですね!
ここから私も黒澤道を極めていきます。。




*こぼれ話
浪人を探す場面に、ノンクレジットだけれど、若き日の宇津井健と仲代達矢が出ているとどこかで読み、探したがわからず。。
それにしても、行き交う浪人たちの顔が、皆パリコレのモデル並みにカッコイイので眼福でありました。。
この時代の役者さんの顔は、存在感があって奥行きがあるなぁ。


**ひとり言
私ごとですが、この8/27でFilmarksを始めて4周年という節目でした。
5年生に進級しました ♪
この一年色々あったけど、やっぱり映画に生きる力をもらって、一歩一歩前に進めたように思います。
フォロワーさんもなかなかお目にかかれなくなってしまった方もいらっしゃるけれど、新しい出会いもあり、またコメント欄で賑やかにやりとりすることができ、嬉しいなぁ ♪と思っています。
まだまだ観れていない名作がた〜くさん!ですが、焦らずこれからもゆる〜く自分のペースでやっていけたら、、と思います。

今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m
あーさん

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