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詩人の血のsayasのレビュー・感想・評価

詩人の血(1930年製作の映画)
4.4
没後60年ジャン・コクトー映画祭②4Kデジタルリマスターにて。
処女作にして前衛映画の傑作であり同時にアヴァンギャルド映画の代表作。後のヌーヴェルヴァーグの映画監督にも大きな影響を与えたという。コクトー作品で最も好き。是非ともBluRay化して頂きたい出たら100%買う。彼は画家・詩人・小説家・劇作家・己の美を貫き通す芸術性に秀でた才能の塊で、自由奔放なインスピレーションの数々に衝撃を受けた。これは素晴らしい。第4章は完璧に『恐るべき子供たち』に通ずる雪合戦シーンだし黄泉の国から現世を繋ぐ鏡は『オルフェ』だった。コクトー自身はシュルレアリスト映画を否定しているけれどもダリのような超現実主義が大好きな私にとってはモロ好みだった。奇想天外・神話的世界・死と再生。例えば鏡の中へのダイブした場面は衝撃で息を呑んだ。そこから詩人のピストル自殺からの超越的な世界と永遠の世界の夢幻的映像。

『詩人の血』はチャップリンが言う意味で、非現実的なできごとをめぐる写実的なドキュメンタリー映画である。
───ジャン・コクトー
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