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悪い男のsayasのネタバレレビュー・内容・結末

悪い男(2001年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

結構私好みの作品だった...人間としてこんな歪んだひどい恋愛映画見たことない。でも嫌いじゃない。
社会からはみ出したヤクザ者と彼にはめられた女子大生の苛酷な恋愛を描いた異色ラブストーリー。『ディナー・イン・アメリカ』とは比にならないくらい異色。だって、好きを抑えきれずにそこら辺にいる純粋な?女子学生に一目惚れして路チューした挙句一気に娼婦に陥れて、彼女の初めても決して自分のものにはせず、しまいにはマジックミラー越しに情事を物色するんだから...
自分がヤクザ側の立場だったら、売春宿の軒先で商品のように並ばされてる姿見たら不憫で悲しくて涙流しながら直ぐに助けに行くけどこの男は違う...愛情表現が全くストレートではない。
最初は、愛する人を汚すことで愛情を得るヤバめな分類に入るそういう趣味の人間なのかと思ったけれども、何か違う?どうも読めないこの男...キム・ギドク監督読めない...
このヤクザにとっては真っ直ぐな純愛なのかもしれないけど、世間一般では完全に曲がりきった屈折した愛なのよ。最終的には好きになってしまう女の子もどっか頭のネジ飛んじゃった感じもする。私だったらもっぱら受け入れられない。世の大多数の女性達もこんな屈折した愛はごめんだって言うはず...汗

でも何だろう、完全男の方犯罪だし、冒頭の路チューのシーンでも感じたけど、袋叩きに合って服も八つ裂きにされる痛々しい姿見てこのヤクザに同情の気持ちを少し持ってしまった...

あと、心が揺らいだシーンが初めてヤクザ・バンギがソナの部屋に行き、手出しもせずただそっと添い寝するところ。彼女の温もりを隣で感じるだけで俺は良いんだ...という愛を感じた...

役といえどソナを演じた女優さん体を張っていて精神的にもかなりキツかったんじゃないかなと思った。今作出演後、女優業から身を引いているようだし...
いやあそれにしても良くこんな映画思いつくもんだ。

キム・ギドク監督作品これが初だったけど他も観てみたくなったし、余裕があればとりあえず『魚と寝る女』あたりから追っていきたい。大衆ウケするような映画ではない赤裸々に社会の最下層を暮らす人間を生々しく描く大胆さが良い。晩年は思ったように上手く行かず、セクハラパワハラで訴えられ最期はコロナで60年の人生の幕を閉じてしまったようだけど。
これを機にまた自分の中で韓国映画ブームが到来したかも。
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