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モーリスのsayasのレビュー・感想・評価

モーリス(1987年製作の映画)
4.3
🌌🇬🇧🤍

20世紀初頭の同性愛がタブーとされていた英が舞台ということもあって最近観た海外ドラマ『A Very English Scandal』(ジェレミー・ソープ事件)が記憶に新しかった。
ビターで切なくて濃く淡い。
ドラマティックな魅力に満ちたノーブルな世界観凄く好み。
好きすぎて鑑賞後は原作Amazonでポチって少しずつ読み始めてるところ。
こちらは物語に奥行きがあって、ストーリーテリングもアクティングも丁寧で
、伝統を重んじる当時の英国の上流階級社会と真実の愛の狭間で揺れ動く二人の青年を描いていた。まるで絵画を映画にしたような美しさで見とれてしまうし、終始退屈せずに観ていられた。衣装・舞台・調度・文化・パブリックスクール・ケンブリッジ大の建築様式...モロ好みだし、同じフレームに収まる彼らの姿は"耽美さ"を感じさせた。英国美男子は眩しい。
So beautiful and then so sad...

特筆すべきはジェームズ・ウィルビーの熱演で、純粋で真っ直ぐなモーリスの心情をよくだしていた。妹に嫉妬して怒り狂う場面も秀逸。そしてやっぱりヒュー・グラントのタレ目のうるうるした瞳で見つめる子犬感はいつ観ても堪りません....❤︎かわいい。ポチにしたい...加えて、ポッシュなブリティッシュアクセントで話されたらたまったもんじゃない...ハートにズドーンくらった...!❤︎イギリス英語は心地良くて好きなんだけどヒューはその中でも別格でRPアクセントの使い手なので、劇中ずっと喋っていてほしいくらい響きが耳の癒しで素敵...ホントこの発音好きだからasmrやってほしいくらい笑
RPに浸りたい時はヒュー作品を漁ることにする...
若ヒュー(クライブ)とウィルビー(モーリス)の陶器のような滑らかな肌、かきあげて風になびく髪✧︎
モーリスがクライブの髪をひとかきひとかき優しく撫でるシーン...髪撫でるだけで何とエロティックなの...そして、本編から削除されたハグのシーンとか諸々後から観たけれど何故消した!?と言わんばかりのシーンが沢山あって残して欲しかったなあと、ぼやき...
自分の心の底から湧き出る好きという感情を必死に押し殺して社会の中で仮面を被って生きていくことは辛い...愛した人が同性だった。ただそれだけで社会から大罪人のレッテルを貼られ、同性愛が邪道であるという考えを植え付けられ、身分も地位も何もかも失うなんてやるせない。

名声と財産、愛...彼らが選択するのは...


ネタバレ⚠️














もう切ない...切ない.....切ない....
若きモーリスと過ごした輝く学生生活を窓の外を見ながら思い出す...きっとクライブはまだモーリスのことを想っていたんだろうけど、自分の本心に蓋をして生きていく道を決めたんだろう...
このラストシーン自分の心の中でぐわ~っと抑えきれない切なさと虚しさが押し寄せてきて暫くの間涙が止まらなかった...何だろ幸せな時間が突然終わったあとの現実に引き戻される喪失感と似た感情が押し寄せてくる。モーリスとクライブ二人の選んだ道がどちらが正しいとか間違いとか白黒つけられるものではないんだろうけど、プラトニックな関係を越えて二人一緒に人生を歩む決断をしていたら彼らはどうなっていたんだろうと考えてしまった...
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