どういう展開の映画か、そもそもどんな映画なのかが分からなすぎて、一回観た時点では何じゃこりゃ？となったのが正直なところ。
しかし話の内容を知った上で観た2回目。細部のシーン、登場人物たちの立ち位置の意味が見えてくると、なんとも言えないジワジワとした面白さを感じることができた。
ただのシンボルに過ぎない存在の「桐島」。彼が部活をやめるらしい、ただそれだけのことにより、同級生たちの歯車は狂っていく。
脆い友情、虚飾や傲慢など、"イケてる奴ら"の弱さが暴かれていく。
それとは裏腹に、責任感や情熱など、"イケてない奴ら"の強さが見えてくる。
個人的には、東出昌大の涙がこの映画の全てと言っても良いのではと思う。
何をやってもうまくいく、だからこそ何かに打ち込めない彼の目には、何をやってもうまくいかない、なのにがむしゃらに頑張る奴らの姿がすごく美しいものに見えたのだと思う。
イケてるイケてない、とかいう物差しは、すごく曖昧で無意味なものだなぁと感じた。それと同時にその物差し抜きで生きていくことの難しさも感じた。
不器用でも、不格好でも、何かに熱中し、打ち込むということは素晴らしいことだ、と思えた映画。
