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わたしを離さないでのyuuuumiのレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
3.5
レビューを拝読させていだいて、とても観たくなったこの作品。
ラブストーリーかと思いきや、そういう話ではなく、人の生についての衝撃的な話でした。
この話、誰かの為には善で、誰かの為には悪でという、はっきりした答えなんてない結末に衝動を感じました。

自分の生を、誰かの為に渡す事をただ『終了』という言葉だけで、疑問にも感じずにすんなりと受け入れているキャシーやルース。あきらめてるわけでもなく、生活の一部であるかのように。

もし私がこの立場なら、このような自分の生について知ってしまったらどうするだろうかと考えた。
きっともがき苦しむだろうし、現実から逃避行も考えるだろうと思います。
でも、このように言い聞かされて育ったなら、それが普通の事として受け入れてしまうのかなと考えたりもしました。

死ぬ為に生まれてきた、されるがままの受け身の人生。
『私たちが救う人と、私たちは何が違うんだろう』というセリフを私も重く受け止めました。

もし可能なら、世の中には辛い事も間違いなくあるけど、楽しい事もあるんだという事を教えてあげたいし(そんな事をしてもどうにもならないけど)、自分で選んだ、ささやかな日常である人生を生きられない事ほど悲しい事はないと感じました。

キーラ・ナイトレイの最期の表情に、この映画の悲惨な光景を感じずにはいられませんでした。当たり前のように人の為に行っている事に喜びを感じているわけでもなく、ただ受け入れている事。

私ならこれからも、自分の心のままに過ごしていきたいと思うし、楽しみや、悦びを感じて生きていきたいと深く感じました。
暗い深淵を垣間見た映画でした。
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