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泥の河の一のレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.0
小栗康平監督デビュー作

第54回のアカデミー外国語映画賞にもノミネートされた作品

河口の食堂に住む少年と対岸に繋がれた船で売春を営む母を持つ姉弟との出会いと別れを軸に、社会の底辺で生きる人々を描く

自主製作なんて信じられないくらい完成度が高いし、これが80年代の作品なんて凄すぎる…
設定通り50年代にしか見えないくらいの匂い立つようなリアルな描写を、モノクロ映像にすることでより強調され、画面越しでもひしひしと伝わってくる重苦しさ

戦後の大阪の片隅のドブ川を舞台に、時代に翻弄される悲しみを背負いひっそりと暮らす家族
『万引き家族』なんかを思い起こすような、演出やセリフ回しも見受けられました

戦争と貧困というあまりにも重いお話を、あくまで子供目線で描かれているから余計に苦しいけど、超えられないほどの格差があっても子供は純粋に遊ぶし、それを優しく見守る親もめちゃくちゃ素敵だった

親子も子役も皆さん素晴らしかったし、圧倒的に美しい加賀まりこの艶めかしさは、ハリウッドスターに勝るとも劣らないほどのインパクト

扱うテーマだけに当然娯楽性は薄いですが、芸術色の強い作品だと思っていたので意外と観易くて驚いたし、外国語映画賞ノミネートも納得できるクオリティの高さで、めちゃくちゃおすすめです

〈 Rotten Tomatoes 🍅-% 🍿※90% 〉
〈 IMDb ※7.8 / Metascore - / Letterboxd 4.0 〉

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