Demoto

脳内ニューヨークのDemotoのレビュー・感想・評価

脳内ニューヨーク(2008年製作の映画)
4.3
人生は2時間の映画の時間に比べれば永遠だ。映画の前と後があり、そして、どこかを区切ることで映画が始まる。

これは、ヘイゼルと出会い彼女が亡くなるまでの数十年を「映画の1日」に再構成したものだったのだろう。(違和感の由来は、映画世界にケイデン自身が入り込めていないからか。)

現実の数十年に対し、映画の2時間とは一閃の光でしかない。けれどもケイデンは彼の誠意として、人生を描くために人生を再演しようと苦闘していた。だから舞台は完成しない上、映画にも溶け込めない。

ヘイゼルの家が燃えているのも、オリーブのライブ日記も、すべては追体験の映画すなわち人生の再構成だから有り得たということで自分は疑問に片をつけた。

ケイデンが映画として表されること、映画の時間を演じることを決心したのは、ラスト近くヘイゼルが亡くなってから。ケイデンが初めてマトモな意見を出した、それこそが2時間で人生を演じること。人生は映画の時間に比べたら永遠なのだから、どこか区切ることが映画の始まりだ。これはヘイゼルへの、そして自分の悲しみへの祈りの時間だったということだろう。

最期は、エレンの人生の時間を追体験して幕を閉じる。誰しもに悲しみの物語があるのだから。
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