KENZO

ボーイズ・オン・ザ・ランのKENZOのレビュー・感想・評価

ボーイズ・オン・ザ・ラン(2009年製作の映画)
4.2
♪くだらない世の中だ ションベンかけてやろう

救われない話である。
普通の映画であれば、もう少し報われる。
仕事は上手く行く兆しが見えるし、一発くらいはぶちかませるし、結ばれる。

峯田和伸演じる田西は、性欲を丸出しにしながら純粋な程ガムシャラに突っ走る。
だが報われない。

そんな田西の暴走を見て、ときに共感し、ときに嘲笑い、ときに居た堪れず、ときに胸が痛くなり、ときに焦燥感に駆られて無性に走り出したくなり、最後には勇気をもらえる。

下ネタ満載でも下世話にならず、愚直に純粋でもカッコ良すぎないのは、峯田和伸の雰囲気に拠るところが大きいと思う。
脇役たちのキャスティングもお見事。
悪役じゃない本来の人情味あるでんでん、気のいい先輩の渋川清彦、アル中だけど深みを見せる小林薫、無表情だが決めるところは決めるリリー・フランキー。
まさに適材適所。
松田龍平の父親譲りの前蹴りも素晴らしい。

原作漫画やドラマもなかなか評判良いらしいが、しばらくはそちらに触れず、映画の余韻に浸りたい。
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