KENZO

竜とそばかすの姫のKENZOのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.6
とにかく映像と音楽。
映画館の大きなスクリーン、優れた音響環境で観るだけの価値があるし、中村佳穂が演じる主人公の歌声は仮想世界<U>で評判になるだけの説得力を十二分に持っている。
映画『BECK』では主人公の奇跡の歌声を表現するにあたり「無音になる」という荒業の演出がなされていたが、本作は正攻法で挑んで見事に勝利を収めている。

ネット世界の演出もなかなか凝っている。
自警団のアバターにはスポンサー広告がついていたりと面白い。

一方で「もう1人の自分を演じる」という割には、<U>の世界観がアバターを用いたチャットツール程度の見せ方しかされておらず書き割り感が漂う。
<U>に入ってる間は、現実の行動とリンクしているのか、現実で歌うと<U>でも歌うのか、それとも思念だけで没入するのか、よく分からない。

この辺の粗はストーリー展開にも見られて、こういうシーンを描きたい、こういう
展開にしたいありきで作られているからなのか、強引だったり尻すぼみだったりで継ぎ接ぎ感が目立つ。

映像としての見せ方は際立っているだけに残念。
次回作では別の脚本家さんでぜひ。
KENZO

KENZO