『赤い手のグッピー』というタイトルは一体なんなんだとずっと不思議だったんだけど「グッピー家の"赤い手“」ということなのね。魚ではない。代々近親婚を繰り返してるグッピー家はお互いに渾名で呼び合ってて、その一人が「赤い手」と呼ばれる男。この男がタイトルロールになるほど活躍をするかは序盤ではわからない。
近親婚を繰り返す大家族を舞台にしたプロットは横溝正史なら因習渦巻く陰惨な物語になりそうだが、本作はサスペンス要素もありつつ喜劇的な小気味よい編集で進む。大家族の結束よりも、孤独な弾かれ者同士の連帯に妙味があって私はいいなと思った。自ら行き場を失い、ひたすら高く高く木を登っていくという行為はさみしい。