やまモン

リリー・マルレーンのやまモンのレビュー・感想・評価

リリー・マルレーン(1981年製作の映画)
3.7
【ワサビ抜き、なれど美味】

この作品、珍しく毒を感じない。
時代の荒波の中を上手く渡っていこうとするも、一人の女性では、どうしようも出来ない運命に翻弄されていく。
キャラクターに強烈さは感じない。しかし、だからこそハンナ・シグラの演技にうっとりできる余裕がある。
悲しみを湛える双眸、笑った時の口元。思わず酒が欲しくなる。
そして、リリー・マルレーンという歌。兵士達はつかの間癒され、そして元気を出して再び死地へ向かう。
音楽そのものに罪はない。しかし、使い方が問題だ。音楽とは「救い」というよりもむしろ「解放」なのだから。