矢吹

オーケストラ・リハーサルの矢吹のレビュー・感想・評価

オーケストラ・リハーサル(1978年製作の映画)
3.9
オチ。完璧。正解。神の復活。そののち。

かつて、音楽は世界であり、調和が全てであった。今もそうであるべきなのだが。
いまは、法と権利により、組合ができて、
指揮者と奏者の間に対立ができる。
組合は指揮者の権力の破壊を試みるが、
それは権利の上にある力であり、またその、権力の上にある権力の構図。
こっちが、今ある音楽についての全てなのだ。
そして、争いは起き、ついに犠牲者が出て、礼拝堂と王の墓が破壊される。
その時に、また神が復活し、調和が生まれる。
と思いきやのラストまで、最高。
果たして争いの奥にある、調和の取れた世界など存在するのか、するとしたら、どうなるのかと。

単純にオーケストラの変人たちへのインタビューだけでもめっちゃ面白い。
河原で、吹くんじゃなくて、聴くっていうのめっちゃよかった。
管楽器の奏者は、ずっと息吹いてるから、頭おかしい奴ばっかりって理屈も面白かった。
真偽はさておき、まじでオーケストラって頭おかしい人だらけなのかね。
奏者みんなの話は聞きがいあるし、個性爆発見てて楽しい、そんな彼らをまとめるはずの指揮者もまた、強烈なのです。
インタビューシーンから、画面に映る全ての人物が、生きている。話してない人の後ろの騒ぎが面白い。外も生きてるんだろうなと思えるほど、生きているんですよね。
そこにもなんか、フェリーニ感、満載。二分の一の話もちょっとあったけど、インタビューとしての重みも増える。お邪魔します感もある。
そして、演奏シーンの迫力、音楽はニーノロータさんも最高なのだから、もちろん最高。
めちゃサイコー。
矢吹

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