13世紀に建てられた礼拝堂で行われるオーケストラ練習の騒動を描く。
楽団をテレビ局が取材し、奏者が順にインタビューに答えていくスタイルで、カメラは一歩も外に出ない。
フルートは獣さえ手なずける。
トロンボーンは創造主の声。
チェロは哀愁。
バイオリンは花形。
トランペットは異次元への切符。
各奏者が愛を込めて語る楽器の特性により、それぞれの魅力を少しばかり知る事ができた。
指揮者は不揃いの音を重ねる奏者に苛立ち、奏者は労働者としての不満を募らせ、奏者同士もまた争い、やがてそれが爆発する。
協奏ではなく狂騒だ。その暴動は音楽家として実に野蛮な行為だが、崩壊の後は音楽によって再生される。
フェリーニの単独監督デビュー作からずっと彼の作品の音楽を手掛けてきたニーノ・ロータ最後の作品となり、そのテーマが「音楽」だった事が感慨深い。