ろ

今宵、フィッツジェラルド劇場でのろのレビュー・感想・評価

5.0

「土曜の晩のライブショーへ ようこそ」

ラジカセを買ってもらったのは、小学2年生の夏だった。
淡いピンク色のラジカセで聴いていたラジオ。
福岡から大阪へ引っ越す前の不安な夜も、テスト勉強にくたびれた昼下がりも、うつ病を患ってから過ごす晴れの日の憂鬱も、ラジオとともにあった。

早朝、フェリーを降りて眠い目を擦りながら聴くカーラジオ、望む朝焼け。
我が家のブルーバードがチャンネルを合わせる日曜日の午後、サンデーソングブック。
そういえばこれもラジオショーだったな、「今夜も生でさだまさし」。
各地・各国から届いたお便りを読むさださん。
時には手書きの「意見には個人差があります」を掲げながら歌を披露する、深夜の愉快なライブショーを思い出しながら、このレビューを書いています。


「今夜が最後のショー?」
「いつも最後だと思って頑張ってる。」

フィッツジェラルド劇場で30年続いたラジオショー“プレーリー・ホーム・コンパニオン”が今夜 幕を下ろす。
出番直前までおしゃべりが止まらない出演者たち、それぞれの想いは・・・

今夜が最後なんだから、とリスナーに感謝を伝えたい人。それは大げさすぎると強がる人。
この番組を聴きながら亡くなった人、生放送中に楽屋で亡くなる人。
泣いちゃうかもしれない人、もうすでに泣いちゃった人・・・
台本が見つからないハプニングをアドリブで繋ぐ出演者も、くだらないジョークに笑うリスナーも、ラジオを通じて同じ時を過ごす。
聴く人と届ける人の日常を彩りながら、人生を一変させる力を秘めている。
ラジオを愛する全ての人へ贈り物、「今宵、フィッツジェラルド劇場で」でした。




( ..)φ

窓を開けっぱなしにして、聴こえる鈴虫の声。
サーッと抜けていく夜風。
一気に秋の夜長のムード。
こういう夜にはラジオが似合いますね。
ろ