カメラワーク台詞音楽がまずかっこいい。
強盗を乗せて逃げるシーンからだが、普通ならカーチェイスでもしていきなりドカンだけどゆっくり静かな雰囲気から段々と激しくなったり落ち着いたり、なんにせよ地続き感。彼の性格と同じように静かだ。喋らずとも静かさで彼の用心深さ用意周到さがわかる。後ろに乗ってる強盗たちと同じく唖然として見守る。そこからの音楽をバックにタイトルでるのはズルい。映画ってのはオープニングが大事だと知らしめてくれる映画。
表向きの仕事は警官(映画でよくある善悪の表裏一体性)かなと思わしておいてスタントマンで特殊メイクのマスクをかぶってるっていう本人の人生にも照らしあわせられる(嘘のマスクをかぶってるそれこそ警察イコール善)シーンなど細かなとこも無駄なし。穏やかなカーチェイスしかりベタなことをせずちょっと進んだやり方で魅せるので新鮮。他にも鏡の使い方など。
ストーリーもさることながらいくつもの意味を持ったキスシーンが舞台的演出の効果もあってロマンチック。そのあとのバイオレンス、エレベーターと外の隔絶の隠喩など魅力のあるシーンが多い。
そしてまたライアンの表情で全てわからせる演技もいい。特にサメの話の伏線からもわかる通りライアン演じるドライバーの光の当たる世界にあい慣れない哀しさ哀愁が凄い。全編通した緊張感。そしてラストに流れるリアルヒーロー。しぶい。
静かなで渋い哀愁を帯びた男の生き様。全体的に黒と紫とビビッドなピンク色のイメージの映画。雰囲気はエドワードホッパーのナイトホークスみたい。冒頭のワクワク感ハラハラ感は遠藤周作の海と毒薬のプロローグを彷彿。