ぜん

ドライヴのぜんのレビュー・感想・評価

ドライヴ(2011年製作の映画)
3.7
【無口な一流の"逃し屋"彼は自らの環境からは逃れられるか 】

主役の名前はない。
一人の男。職業は"ドライバー"
昼間はスタントマンと車の修理屋。
夜は犯罪者を逃す一流の逃し屋。

まだこれから観ようと考えている方に。
思っている以上にグロいシーンが多いです。
僕は前情報なしにポスターだけを見て鑑賞しましたがグロ耐性が無い方は覚悟が必要かもしれません。

ただもう一つ伝えたいのが、
この映画はただグロいだけではなく、
人間の繊細さが巧みに描かれていて、
映画としての完成度は高いです。

この映画の注目ポイントは2つあります。

1つ目は「人間の二面性」です。
まずは外観(職業)としての二面性。
昼間の仕事はスタントマンや修理屋
と言った"善"なる仕事。
そして夜は犯罪者に加担する"悪"の部分。

そして内面としての二面性。
好きな女性といるときは子供の世話もしてくれる優しさがある。
一方で大事な人を守るためには手段を選ばず人を殺してしまう猟奇的な面がある。

「善」と「悪」
人間には二面性がある。
彼は優しい心を持ち合わせているにも関わらず、自らの環境によって人間の悪の部分を発揮せざるを得なくなってしまった。

このことは環境の重要性、そして環境を選ぶことの重要性を示しているのかなと思う。

朱に交われば赤くなるということわざがあるが犯罪という悪い環境に身を置くことで血で赤く染めてしまう運命に導かれていったのだろう。

そして2つ目は「セリフの少なさ」です。
セリフが少ないということは、役者の演技によって観る人に伝えることが映画の出来を左右する。

この点に関して主演のライアン・ゴズリングの演技は素晴らしいの一言でした。
表情だけで登場人物の心情が伝わりました。
恋愛映画だと好きということを言葉で伝えたりすることが多いですが、表情や仕草と言った表現力で好きということが充分伝わってきます。


無駄なものが削ぎ落とされており自然と引き込ました。
洗練された映画でした。
ぜん

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