yukihiro084

天使のくれた時間のyukihiro084のレビュー・感想・評価

天使のくれた時間(2000年製作の映画)
5.0
結婚して10年、子供が出来なかった。
特別なことはしなかった。
気付いたら10年が経っていた。
10年目の春に、まっ、2人で仲良く
生きていきましょう、みたいな話を
2人でした。そのやりとりから数ヶ月後、
妻は身ごもった。
嬉しいニュースのはずなのに、
僕らは受け身をとれずにいた。
2人で生きていこうと覚悟をした。
その気持ちに至るまでの日々があった。
覚悟は、そう簡単に次の覚悟に
差し替えられない。
嬉しいニュースのはずなのに、
妻はいつまでもいつまでも泣いていた。

人は、アレやコレや選べない。
一週間は7日と決まっていて、
一日は24時間と決まっている。

再レビュー。
もう何度も観ている、大好きな作品。
とにかくラストの余韻がいい。
早々と正体を見抜く聡明な長女の
(ようこそ地球へ)と、終盤の
セリフとその表情もいい。

そして妻役のティア・レオーニがいい。
濃いコーヒーを持ってきて!、とか、
ケーキのくだり、主人公を送り出す際の
ラブラブぶりとか、とってもいい。
誰だって、こっちの人生がいいかな、と
思わせる、とびっきりの可愛さがあった。
そしてそして、出演シーンはわずかだが、
ドン・チードルもさすがの存在感だった。

今日も妻と息子は、喧嘩をしている。
妻が怒り、息子がムキになって
反論している。妻はもう泣くことはない。
鬼のように猛烈に怒っていて、
息子も猛烈に言い返している。
11年目の春に生まれた息子は、
僕らの想像を遥かに超えて、
元気でお喋りな男の子になった。

子供が生まれて、僕も妻も自分のための
時間と呼ぶ時間がなくなった。自分の
ための買い物をしなくなったし、
いくつかの趣味や熱中していることも
やらなくなった。正解も不正解もない。
今歩いている道が全てなんだよね。
その道の上で最善を尽くせばいい。

ラストの余韻がいい。
いろいろ想像を膨らませてしまう。
その日が来るのなら、今度は
主人公の(父親)が長女に言って欲しい。

(ようこそ地球へ)って。
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