円柱野郎

灰とダイヤモンドの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アンジェイ・ワイダ監督の「抵抗三部作」の3作目。
ワルシャワ蜂起を生き抜いた若者が、ドイツ降伏が目前に迫る中で、反ソ・レジスタンスとしての運命に翻弄される姿を描いた作品。

ポーランドという国の歴史を知らないと取っつきにくい内容であるけど、それでもドラマとしての重厚さは伝わってくる。
ドイツの占領から解放され、次に共産化の足音が近づいているという時代の変わり目を、実際に対独レジスタンスだった監督だからこその目線で描かれているね。

レジスタンスとして国のために生きてきた主人公は、ついに人生の価値を見いだす出会いを果たすも、そのレジスタンスとしての運命がその人並みの幸せを許さない。
そこにこの映画で感じる最大の虚無感の原因があるのだけど、それ以前に暗殺対象である労働者党の書記もポーランド人であり、同じ民族で殺し合うという事態がイデオロギーの外にいる側から観ると悲劇以外の何ものでもないと感じたりする。
円柱野郎

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