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美しき冒険旅行のreifのレビュー・感想・評価

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)
4.0
ニコラス・ローグ、それは興味があります、という前のめりな姿勢の相伴。虫注意だし動物の解体等がガンガン映りカルト臭が強く、イイ! 舞台はオーストラリアの砂漠、に頭がおかしくなった父親に放り出される姉弟の放浪を、アボリジニの「ウォークアバウト」という通過儀礼の疑似体験として描く。オーストラリアの激しい風土、乾燥した砂漠からの湿地…、Oh, マッドマックス。マッドマックスはオーストラリアの風土に生まれたのだとわかる。姉弟は学校の制服を着ている(ひたすら洗濯する)。姉のミニスカートがやたら扇情的で、見えそうで見えない、見えた!ハァハァと煽ってきます。図象的エロスもふんだんでエッチだなー、ニコラス・ローグ。姉弟だけでどうにかなるものでもなく、アボリジニの少年が道連れになる。ブーメランもオーストラリア発祥でしたね、と、生きること=狩猟生活=狩人という太古を保存している。殺して焼いて食べる。旨いんだろうな。ニコラス・ローグの視線は「野蛮」ではない。まあ、必要以上に残酷なのは趣味性を感じますが、食べるってこういうことだというドライな視線なのですね。少年にとって文明(の残滓)に案内することは未来だった、姉は文明を思い出し傲慢になるのがこの物語の「反転」の悲しい瞬間。ラストシーンが突然泣ける、パラダイスロストである。さらにその上にもう一段メタが仕込んであるのは念入りすぎるし人間嫌いすぎます監督
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