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たそがれ清兵衛の群青のレビュー・感想・評価

たそがれ清兵衛(2002年製作の映画)
3.7
ひたむきに、実直に生きる男というのは日本人の描く理想の男性像の一つ。そしてそこに一歩下がってついて来て尚且つ暖かく見守る女性もまた、理想の女性像だ。ただし後者は今となっては男性側が描く、がつくが笑

自分は山田洋次監督の時代劇三部作がどれも好き。今作はその一つ。夢を抱かず、今の生活を頑張る男が主人公だ。


ストーリーは、意外と強いがそれを見せず退社時間はきっちり守る男が愛を求めて良いのか悩む話。
合わせて要人をやっつけてこい!お前は死んでも構わん!藩命令だ!にも悩む。

武士って生きにくい職業だなと思った。当時はあれが当たり前だから疑問には思わないだろうが、切腹を強いられたり、武士道を貫くことはとても難しいことではないだろうか。

今作の主人公、清兵衛(真田広之)も自分の生活=愛を与える事から、朋江(宮沢りえ)を許嫁にする=愛を求める=自分の生きる意義の放棄、をしてよいか悩む。

この葛藤!男の美学!かっけえ!

まあ、許嫁にする分には娘は何も思っていないのだが清兵衛としてはメンツがあるのでそうもいかない。
しゃあないんすよ、男ってしょうもないことで悩むんすよ。分かってあげてくださいよって感じ笑

そういう微妙な距離感を真田広之さんと宮沢りえさんが上手く演じてる。
演技アンサンブルが素晴らしい!美男美女だから、画がもう映える映える!しかもそれをリア充っぽく見せているわけではない。お互い自信なさそうに接する。こっちはそれを見てニヤニヤ笑


殺陣は当時のリアリティが盛り込まれてる。特に後半の廃墟の屋敷で行われるバトルは良い。取り立てて派手なバトルではなく、陰影がかっこいいのだ!見ればわかる!笑

ラストがあっけないという人もいるが、男の人生、ああいう流れで全然良い。確かにニヤニヤは見たいがそれは野暮というもの。冗長な部分になってしまうので必要ないだろう。

女性よりは男性の方が分かるよ、分かるよって見れるんじゃないかな。差別では決してなくて、男特有の変なプライドっていうのかな?それが感じられる良い作品。
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