こたつむり

この子の七つのお祝にのこたつむりのレビュー・感想・評価

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)
3.4
小学生の頃。劇場で鑑賞してきたカナイ君(仮名)から最後のオチまで聞かされて「うひぃ。こわいぃ。絶対に観ないぃぃ」なんて思ったことだけを憶えていた作品。うん。イヤな大人になっちまった今なら大丈夫さ!

って。ごめんなさいぃ。今でも十分に怖かったですぅ。というか、これって小学生の時分に観る映画じゃないと思いますよ!

戦後。日本人形。童謡。血飛沫。
鋭利な刃物で抉られる傷跡。血の手形。
朽ちていく部屋で。響き渡る呪詛。

まるで横溝正史か高木彬光かと言わんばかりの舞台設定。もうそれだけでドロッとした何かが心の奥に渦巻きそうなのですけれども、それを超えるかのように存在感を示す岸田今日子さん。いや、マジで。ヤバい。目がコワいっす。笑いながら写真に針を突き立てないでください!というか目を見開いて笑わないでください!

というわけでイヤな大人になっても怖いものは怖いと教えてくれた本作ですけれど。全般的には土曜ワイド劇場の映画版という仕上がり具合であります。まあ、あの赤青黄のオープニングはありませんし、途中で化粧品のCMも流れませんし、混浴とか全裸とかもないんですけどね。

何はともあれ。
昭和の狂気を感じさせる本作。
出来ましたら「昭和ってセピア色で温かい時代だったのよね」なんて思っている若い方々に観ていただいて「うひぃ」なんて言っていただけたら。うひ。
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