盛んに笑うことが許された作品である。鳴り響く電話は小籠包やら肉饅があるはずの、あの蒸籠の中にはいっている。
また、お馴染み群像劇なエドワード・ヤン作品ではあるが、安定した群像というよりは、バラバラでくっついたり、また離れたり、普通なそれとは逸脱した恋愛群像劇。
彼は自分を映画に投影している、もしくは当時の台湾を。これは、今のところどのエドワード・ヤン作品にも観られたように感じる。
とりわけ、ここではお金、芸術、エンタメ、また現実主義、楽観主義いろいろ迷っていたやつなのかもしれない。
心意を一つに限定することはない(真実はいつも一つなのは、事件現場に"たまたま"よく居合わせるあいつくらいだ)。
概念を固定させず、新しい目で観る。(個人よりも社会全体を中心に、個人を見出す考え方を否定するようであるが、)あのタクシー運転手が象徴している。
孔子やら冉有やら、とにかく引用の多さが特徴的で、セリフがまあとても良い。浅い二人間の恋愛に、"アイラブユー"とは全くもって自分勝手である。
混乱、弱さ、違和感、エドワード・ヤン映画は今回も面白かった。