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復讐するは我にありのshinoのレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
4.0
世の中狂っとるんじゃ!!!!!

1960年代に実際に起こった西口彰事件を題材にした映画
2時間超えという長い映画でありながら緒形拳の怪演とストーリーのテンポの良さ、そして神がかってる画面構成にグイグイ引き込まれていった。
特に画面構成においては本当にすごくて、センスが良いという言葉で片付けていいのなどうか迷うけど、とにかくセンスが良いとしか言えない。真っ黒なシルエットに1つだけ浮かぶ柿のオレンジ色、視聴者がふすまの隙間から覗き見するような視点、小さな窓から見える情事を覗く老婆、窓の外から聞こえるチンドン屋、タンスから覗く死体…など、一度観るだけで脳裏に残るような印象的なショットがとても多い。

緒形拳演じる榎津巌が本当にすごかった…。
何の躊躇もなく数分前とは違う身分を名乗ったり、良い人の顔をしながら殺しをしたり金を奪っていく姿が本当に罪悪感など無いんだなと感じられる。殺人に興奮を覚える、という殺人鬼ではなく、ただ金や欲望を満たすためだけの、ビジネスチックな犯罪でしかない。
昭和映画特有の血と精と生と死のむさ苦しい、人間臭さというか、泥臭さというか、そういった空気がムンムン感じられる。
しかし、実在な事件で、実際に人が亡くなっているので、この映画を「良かった」という感想を抱くのも違うかもしれない。ちょっと難しい。

全然関係ないけど、どこかの方言?で緒形拳が「いやいや」を「にゃんにゃん」って言ってるのめちゃくちゃ可愛かったな
にゃんにゃん
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