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フィッシュストーリーのろのレビュー・感想・評価

フィッシュストーリー(2009年製作の映画)
3.7
「いたんだ…正義の味方、いたんですよ!」

原作は読んだことがありませんが、伊坂幸太郎は好きな作家の1人。個人的には「チルドレン」が好きです。
今作は観終わってからちょっと元気になれる映画。明日も頑張ったらいいことあるかも...そんな気分にさせてくれます。


彗星衝突まで残り5時間。
2012年、世界の終わりをレコード店で迎えようとする店長とお客さん。そこへ、謎の紳士(?)がやってきて...。果たして”正義の味方”は世界を救ってくれるのか!?

この物語、いくつもの時代が登場します。1975年、1982年、1999年、2009年、そして2012年。
一見関わりのない人々の人生が実は繋がっている、というのが今作の面白いところ。

一番好きなのは2009年のお話。
「正義は昔から悪にかなわなかったんですよ。全くバカバカしい。バカバカしいし、悔しいですよね」
子どもの頃から「お前は正義の味方になるんだ!」と言われ、訓練されてきたコックさん。その積み上げた力を発揮する機会が訪れます。
「彼こそ”正義の味方”...!」
コックさんの披露する華麗なアクション!俊敏な動きに鋭い眼差し!船の乗客のおばあちゃんやおじいちゃん、女子高生が胸キュンしているのと一緒に私もときめいてしまいました(笑)

1982年の岳ちゃん演じる雅史も弱弱しいけれど、最後は目をそらさずに立ち向かって自分の運命を変えました。
1975年、バンドのメンバーは 売れなくても自分たちの音楽にこだわり続けました。
みんな、人から注目されてもされなくても、自分らしさを見失わなかった。”自分の人生の中では誰もがみな主人公”という さだまさしの歌があるけれど、まさにその通りなんですよね。

「俺たちの音楽は理解されない。でも俺たちは自分たちの音楽が正しいと信じてる。このまま消えていくなら俺たちのやってきたことは何の意味もないことになるのか」
1975年、少し寂しそうに最後のレコーディングをする彼らに言いたい。「この曲を聴いて、現実に立ち向かう勇気が湧いた人もいるよ」って。

音楽だけじゃない。絵画や映画もそう。「これが売れなくてもいい。酷評されたって良い。好きだから作るんだ」そういう想いで製作されている方もいるはず。

「ひまわり」で有名なゴッホだってそうですよね。
彼は死後、画商をしていた弟の奥さんのおかげで美術の教科書に載るぐらい有名になりました。当時、油絵の具を買えないぐらい貧しい生活を送っていた彼。評価されなくても絵を描き続けたのは地位や名声のためではない。”好き”という気持ちに突き動かされていたのでしょうね~。

映画も「好きだから撮ってるんだ!」という監督の声は作品から溢れている。そういう人の想いを受け止められる観客の1人でありたいです。


明日から7月ですね!7月は個人的に苦手な恋愛映画をたくさん観ようと思います!笑
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