ろ

アルファヴィルのろのレビュー・感想・評価

アルファヴィル(1965年製作の映画)
3.9
「我々はひとたび1を知れば、2をも知っていると思い込む」

電灯がチカチカしている。
サスペンス調の音楽が流れている。

α都市=アルファヴィル
この銀河系の首都では、何かが狂っていた。

それが分かるのは、映画開始20分後。
それまでは推理タイムです。
焦らすねぇ~。


ここは人工知能アルファ60に管理され、感情や思想が排除された都市だった・・・!

このアルファヴィルでは、非論理的な行動が罪とされる。
主人公が”光と音のショー”として目の当たりにするのは、死刑執行の、まさにその場面でした。

奥さんが亡くなって、悲しくて泣いた男がプールサイドに立たされている。
「人生とは前進だ。愛するものに向かって、進むだけだ」
そう言い残すと、ダダダッと銃が乱射され、男はプールに倒れこんだ。水の中に沈んでいく男を、シンクロナイズドスイミングのような女性たちが回収。バラバラと拍手が起こる。


人生には現在しかない
という言葉が、何度も出てくる。

この物語の中でアルファ60に管理されている人々は、過去を忘れている。
今まさに、戦争が起きようとしているこの世界で、未来は見えない。

「現在だけがあらゆる生活の形態である。いかなる悪も奪い去ることの出来ない一つの財産である」


おもしろいね、ゴダール。
「ボディ・スナッチャー」みたいな、ジワジワ迫る恐怖がやみつきになりますよ。


「不幸なことにこの世界は現実であり、そして不幸なことに私はアルファ60なのだ」
ろ