ミッキン

太陽を盗んだ男のミッキンのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.2
神格化され過ぎ。
期待値が高かった分、「なんじゃこりゃ」感が半端ないアホ映画。いい意味で。

面白い、面白くないの尺度だと抜群に面白い。けど、脚本が荒すぎて雑念がチラつく。唐突にインサートされるウルトラマンレオや、権利処理が怪しいローリング・ストーンズ。ナイター中継後のマツダのCMに、ステマ的な日立ビーバーエアコン推し台詞。全てが気になって没頭出来ないのである。

警察の動きは実にお粗末で、バカなのかと思う作戦が続く。城戸の行動も特に入念に練られたものでなく、山下も全く頭を使わない。ジュリーのスケジュール待ちで脚本書き直す時間なんていくらでもあっただろうに。
没になった村上龍の脚本はこれより酷かったのだろうか?

ロケも相当苦労したのは分かる。ゲリラなのも当然。どう見ても日本橋の東急百貨店を無理やり渋谷にする必要はあったのか?
国会議事堂ってあんな簡単に入れるの?
もうね、ツッコミだすと止まらない。
菅原文太が池上季実子に抱きついたシーンは本当に謎である。

ぶっちゃけ長谷川和彦ってそんなに大した監督ではない気がする。
この映画は沢田研二の凄まじい狂気に満ちた演技が5割。井上堯之のカッチョイイ劇伴(編曲は星勝)が3割。あとは70年代末期の東京の文化が詰まった記録映像としての価値が2割かな。
池上季実子は時折石原さとみにも見える。
水谷豊と西田敏行も豪華な無駄遣いだね。