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メメントのRenのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
3.5
時系列を逆行する編集が特徴的な、クリストファー・ノーラン監督の初期の傑作サスペンス。鑑賞済のノーラン作品の中では2番目に好きな作品で、二度目に観たときはより楽しめた。

「どうやら時系列を逆に辿っていくらしい」「難解らしい」という前情報を叩き込んでから鑑賞したため、大した混乱を招くことなく観終える。

主人公は前向性健忘の症状を持っているため、10分前のことを覚えていられない。この主人公への共感、言い方を変えれば追体験を、時間逆行の編集によって生み出すというのは、とんでもない発明だったのではないかと想像。

さらにこの映画が優れていると思った点は、この編集が決して奇をてらっただけのものではないというところ。この映画のウリでもある意外なオチに驚いたのはもちろんですが、そのオチが最も活きるのがこの編集だと気付いたときの感動があった。観終えると「乙一の短編じゃん」とは思ってしまったりしますが....。

近年の『インターステラー』等と比べるとスケール感は圧倒的に小さい作品ではありますが、この巧みな脚本と構成に、ノーラン監督恐れ入りました、といった内容。しかしこの意外な結末と独特な編集を受け入れてしまった後は、本編自体の地味さに気付いてしまったため、少し甘めでこの評価。
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