10000lyfh

天国と地獄の10000lyfhのネタバレレビュー・内容・結末

天国と地獄(1963年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

使用人の息子を誘拐され身代金を要求された名門企業常務の葛藤、誘拐犯を追い詰める警察官たちの活躍。タイトルは、常務・権藤と他の人々(使用人運転手、医療インターンの誘拐犯、麻薬中毒者たち)との格差と共に、権藤の身代金支払い前後の状況も示していそう。人物造形は類型的(黒澤の弱み)だが、心理描写は職人技(黒澤の強み)。演技はうまいと思えないが、三船と仲代は適役キャスティング。社内政敵らが無関係なのは意外だったが、終盤で誘拐犯が芝居がかり過ぎなど、脚本も長所短所あり。映像面で、権藤邸内シーンの執拗な人物の立ち位置コレオグラフィとそれを追う流れるようなカメラワーク(アントニオー二からの影響?)、また、ラスト刑務所内の権藤と誘拐犯の対峙シーンでの、直接被写体人物とガラスに映りこんだもう一人の重ね合わせ(ウェルズからの影響?)が特徴的。当時の国鉄や江ノ電の車両(ヴェンダースに影響?)、おそらくリアルな警察捜査などの資料性も、現在目線では楽しみポイント
10000lyfh

10000lyfh