ファルコンヘビー

天国と地獄のファルコンヘビーのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.0
この映画に別な題名をつけるとしたら、
『覚悟』だと僕は思いました。



『天国と地獄』
その名の通り、富裕層と貧困層のいろいろな感情が織りなすサスペンスの傑作!
白黒時代でありながら、時代を感じさせない見事な脚本!
映像に一切頼らず、俳優の表情、セリフ、絶妙な間の使い方は
さすが『黒澤明』の一言につきます!!


最近読んだ本で
『映画を早送りでみる人たち』
を読んで衝撃をうけたのを思い出したのが、

この、『世界の黒澤』しかり、
いろんな映画監督が、考えに考えて、

‘’10秒の沈黙”

にしたシーンを、
5秒でわかるわけないやん!
と、改めて思いました笑


そして、
冒頭で述べた、
『覚悟』について
この覚悟という感情って、今の自分にとって一番大事な言葉であり、自分そのものなんですが、
この言葉、感情って、具体的に説明しろと言われると、多分みんなが勘違いしていると思いますが、
僕が唯一言えるのは、

‘’経験した者にしか語れない特別な感情”

そしてこれは自分から意識する感情ではなく、自然と内から湧き出る感情でもある
なんなら、
『感情』ではなく、
『状態』なのかもしれないとさえ思う


そしてすごいのが、この主人公は、
最初と中盤で、この感情の違いを見事に表現しているということ


初めは、
リスクを恐れずに、全財産をかけて敵対勢力に立ち向かおうとしている。この資産がなくなれば自分もろとも破滅なのに。
人生で1度あるかないかの大一番。男として生まれたのであれば1度は経験したい人生を賭けた勝負。
しかしこの時の主人公の感情は、
実は覚悟ではなく、
『勇気』
だと思います。

勇気を辞書で調べると、


‘’勇ましい意気。困難や危険を恐れない心”


そして、
この主人公が勇気から覚悟に感情が変わった瞬間が、54分〜の、
「こんな時に見習いの腕が役に立つとはな」
この哀愁漂うセリフの時に感じられる一見諦めや、絶望感にもとれる感情こそが、

『覚悟』

だと、僕は思いました。

覚悟を辞書で調べると、


‘’困難や危険を予測できているのにもかかわらず、それを受け止めようとする

『心構え』



こう書かれていました。

世の中で失敗と言われることを、たくさん経験した人たちが、なぜそこから這い上がれるのか
それは、この『覚悟』を経験したからだと僕は思います。