一

聴こえてる、ふりをしただけの一のレビュー・感想・評価

3.2
今泉かおり監督長編デビュー作
ちなみに今泉力哉監督の奥様です

母を亡くした小学5年生の少女が、そのことをなかなか受け入れられず悲しみに耐え、新たな一歩を踏み出す姿を描く

あらすじの感じだと邦画版『ポネット』のような映画なのかなと思っていましたが、良い意味で全然違う

決して演技が上手いと言える子役さんたちではなかったけど、無駄な音楽も使わず長回しなどにより少女の繊細な心の揺れ動きが素晴らしく丁寧に描かれています

そして事情を理解できない発達障害気味の転校生の存在が、主人公の少女が子供なりに考えて前を向こうとしていくきっかけにもなっているのも良い

大事な人を失ったとき人はその喪失にどう向き合っていくのか
奇しくも私が母親を亡くした年齢と主人公の少女が重なるため中々辛いものはあったけど、確かに言葉にならない喪失感に苛ませていたのを覚えている
そして周りが過度に気を遣ってくれることすらも煩わしと思ってしまう事もあった
そんな経験が蘇ってくる描写も中々リアル

正直観ようとした最大の理由は、大好きな今泉力哉監督の奥様という浅すぎる理由でした
しかし当然今泉力哉監督とはまるで違う作風でしたが、上手に子ども目線から捉えた素敵な映画だと思います👏🏻

2020 自宅鑑賞 No.462 U-NEXT
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