アントワーヌ・ドワネルの冒険と銘打っているだけに冒険活劇のように動的で乾いた面白さが溢れている。そして意外と探偵業に邁進してるドワネル。またも女の子よりその両親と仲良いドワネル。
ごく短くキレの良いカットバックがあるかと思うと長回しもあり緩急豊か。長回しも固定の会話だったり探偵事務所の部屋から部屋をカメラが縫う追い方などバリエーションがある。
気送便ていうの?あれ今どうなったのかと調べたらフランスでは1984年まであったらしい。地下に張り巡らされ地名が書かれた管が映されるシーンはパリを駆け巡るリヴェット作品のよう。
デルフィーヌ・セイリグがほんとに高貴で艶がある。若いころの酒井和歌子にちょっと空目。セイリグがドワネル=レオーの部屋を訪ねるシーン、彼女の台詞にグッとくる。なんかあのシーンすごくよくて泣けてきた。紺色の壁にはバルテュスのコメルス・サン・タンドレ小路の複製ポスターが貼られている。白いシーツから顔だけ出してるレオーの表情が可愛くて切ない。
しかしこの邦題だけはいただけない。