未島夏

夜のピクニックの未島夏のレビュー・感想・評価

夜のピクニック(2006年製作の映画)
4.6
80kmかけて踏みしめる一歩。
ロードムービーと群像劇の利点を青春映画に堪らなく上手く盛り込んだ、永久普遍の傑作。

序盤を始め高校3年生には見えない様な少々幼い演出も時に見られるが、それが若さを表す良い作用にもなっている。
学生たちそれぞれのエピソードを幾つも散りばめる事で、特別な時間を特別に過ごそうとする学生たちの姿が、観る人の青春時代へのフラッシュバックかのように迫り輝く。

「歩行祭」、並んで80Kmを夜通しで歩くだけの行事。
でもそこにクラスメイトが居て、親友がいて、未だ打ち明けられぬ想う人が居ることで、こんなにも特別で不思議な力を帯びていく。
思い出やその先の未来は一人で決心し賭けをするのではなく、そんな大切な人たちの想いや支えによって生まれていくのだと、80Kmの道のりを共に踏みしめた事でようやく気づく。

人の想いが人の背中を押すその力強さと愛情を、新たなスタートラインの前で噛みしめる素敵な映画。
未島夏

未島夏