のら

アルゴののらのレビュー・感想・評価

アルゴ(2012年製作の映画)
4.5
1979年に起きたイランのアメリカ大使館占拠事件を題材にした映画で原作は Wired に掲載された How the CIA Used a Fake Sci-Fi Flick to Rescue Americans From Tehran。

映画としてはイラン革命下での群衆や街の張り詰めた空気感の描写が非常に上手い。実際のニュース映像や報道写真を元にその場面を忠実に再現する事で、記録映画のような空気感を創りだすのに成功しており、最後までハラハラドキドキさせる事に成功している。

また群衆が暴動起こしたりデモをするシーンで、意図的に女性を映して民主主義や人権を唱えながら女性を抑圧する政権を支援する事に対する批判や、ラストシーンでサダム・フセインの台頭を暗喩する形にしているのも、イラン革命=悪というステレオタイプな構図に対抗していて非常にバランスの良い作りになっている。

あとオープニングで表示されるワーナーのロゴが70年台デザイン(モスバーガー風のデザイン)というのも、この映画自体が偽映画ぽい作りに見せているのもいい。

それで基本的には脱出出来る?出来ない?というだけの単純な映画ではあるが、電話を使った巧みな演出でクリフハンガー物のお手本とも言える作りになっている。
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