砂場

危険なメソッドの砂場のレビュー・感想・評価

危険なメソッド(2011年製作の映画)
2.8
親父クローネンバーグ第7弾!
あまりおもしろくなかった💦

まずはあらすじから

ーーーあらすじーーー
■馬車で病院に連れてこられる発狂した女性
精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は対話を試みる
患者のザビーナ(キーラ・ナイトレイ)の症状は重く、なかなか心を開かない
■ユングは資産家の娘ユマ(サラ・ガドン)と幸せな結婚をしている、まもなく赤ん坊が生まれる。
■ユングは学会で精神分析の大物フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)と知り合う。フロイトはユングを高く評価し自分の後継者だと思っていた。
■ザビーナは幼少期の父からの虐待の記憶から、ヒステリーや性的な妄想に囚われていた。
ユングはザビーナに助手をやらせる中で病状も回復した
■フロイトに紹介されたグロス博士(ヴァンサン・カッセル)彼は複数の愛人がおり性的に乱れていた。一夫多妻が理想だと言った。
ユングとフロイトの精神病の原因を性的なものに見る理論に違和感を持ち始める。フロイトの方もユングのオカルト研究は認めなかった。
■ザビーナはユングをあなたに処女を捧げたいと誘惑、二人は愛し合う関係に
■ユマは夫の愛人の存在に気がついていた
ユングは妻への罪悪感からザビーナと離れる決意をする、彼女はウィーンのフロイトの下に去っていった。
■ユングとフロイトは学会のために渡米、ユングは妻の手配した一等客室に、、ぼーっとそれをみるフロイト。

<💢以下ネタバレあり💢>
■サビーナはフロイトのもとで精神分析医となった。論文は性的衝動が自己を破壊するというテーマ。
ユングとフロイトの対立が深まり、書簡で感情的な罵倒合戦に。
■1913年ザビーナは結婚、妊娠中。ユングは別なユダヤ人の愛人がいた。しかしフロイトと訣別し塞ぎ込んでいた。ユマはザビーナに夫を元気付けて欲しいと頼む。
ユングはまだザビーナを愛していた、ザビーナはロシアに帰った。
グロスは1919年ベルリンで餓死
フロイトはナチスに追われロンドンに、1939年癌で死亡
ザビーナは1941年ナチスに銃殺された
ユングは1961年没
ーーーあらすじーーー


🎥🎥🎥
元々フロイトもユングも興味ないので今作はスルーしてた。
身内が昔精神科医にお世話になった時は普通に脳の検査とか薬物療法だったので、フロイトもユングも医学ではなく”文学”として残っている認識。

冒頭のキーラ・ナイトレイの激しい演技、『ザ・ブルード』とか『スキャナーズ』の公開セラピーシーンを思い出す。
ここでユングの頭部崩壊、、、とはならないw
元々クローネンバーグは怒りとか超能力とかわけわかんないものを具体的な形として描いてきた。
それがクリーチャーだったり、頭部崩壊だったり、お腹に手を入れたり、これらは何なのか最後まで説明されないけど”わけわかんない何か”は見てて感じることができる。
伏線は回収されないスタイル。ここがクローネンバーグらしいところ

一方で精神分析って伏線回収型の学説だと思う。幼少期の虐待が原因(伏線)で、その結果今の症状がある、、みたいな。
だからクローネンバーグ映画の題材としてはフィットしないと思うんですよ。

今作でよかった点は、精神分析の理論面を真正面からテーマにするのではなくユングとフロイトの人間臭い部分にスポットを当ててたところ。
ザビーナの取り合いもおっさん二人何やってんの、、、、ロージーの『できごと』思い出したかなりメロドラマ

笑えるのが、ユングがフロイト宅で食事する場面、大皿の肉を大量にユングが自分の皿に取ってる
のどんだけ食うんだよというか、全体の配分とか考えない人
あと、アメリカに向かう客船で、ユングは自分は一等客室なんで、とスタスタ行ってしまい、フロイトは呆然と見ているシーン。
二人の理論的対立も少し出てくるけど、こんな感じの人間臭いすれ違いエピソードが多い。

2000年代のクローネンバーグは”わけわかんない何か”を具体的なモノではなく、物語の流れや俳優の演技、台詞などで表すように進化している。
ただ本作は自分の興味分野でないこともあってあまりおもしろくなかった
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