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コクリコ坂からの一のレビュー・感想・評価

コクリコ坂から(2011年製作の映画)
3.7
宮崎吾朗監督作品

海の恋愛模様や友情を通して、まっすぐに生きる高校生たちの青春を描く

去年の8月に金ローで放送されたものを今更ながら鑑賞

「まるで安っぽいメロドラマだ」と、監督自ら保険をかけるかの如く、劇中で風間に言わせたのは若干ダサいなと思わなくもなかったけど、結果的には良くも悪くもその通りで、戦争や学生運動を絡めた重めのテーマでも、甘酸っぱい恋愛を絡めながら温かい物語へと見事に昇華した素晴らしい作品だと思う

ジブリらしいファンタジーもなければ派手な展開もないけど、1964年の東京オリンピックを控えた横浜の舞台を、懐かしい音楽や風景など、随所で細かな背景に至るまで丁寧な作りが見られ、平成生まれなので実際に見たことがあるわけではない昭和の世界にもかかわらず、まるでそこに再現されていると錯覚するような繊細な画面作りがとにかく秀逸で、がっつりノスタルジーに浸ることができる

なにより、眩しいほどに生き生きとした高校生達を見ているだけで、なんだか無性に元気を貰えるし、アニメーション作品ならではの爽やかな気持ちで楽しむことができた

宮崎駿の息子である以上、必然的に絶大な高さのハードルとなってしまうのは避けられず、なにかと叩かれがちな監督ではありますが、この映画に関しては純粋に良く出来ていると思いますし、それほどワクワク要素がないのに、素直にジブリ作品を観ているという気持ちになれた

声優に関しては正直微妙だったかなという気持ちが強いですが、手嶌葵の主題歌や挿入歌も素晴らしく雰囲気を作ってくれたし、原作が少女漫画というのもわかるような純愛ものであり、魅力的なキャラクター達に爽やかな涙がこぼれた

〈 Rotten Tomatoes 🍅86% 🍿79% 〉
〈 IMDb 7.4 / Metascore 71 / Letterboxd 3.6 〉

2021 自宅鑑賞 No.343 金曜ロードSHOW!
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