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ジェシー・ジェームズの暗殺のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

3.4
見始めてあまりの訳分からなさにすぐWikipediaにお世話に。
私は全く知らなかったけれど、どうやらアメリカではビリー・ザ・キッド並みに超有名なアウトローらしい(と言ってもビリー・ザ・キッドも名前しか知らないけど)。つまりその暗殺の顛末もアメリカの人はほぼ全員知っていて、その解釈やドラマを楽しむ映画のようだ。
日本で言えば本能寺の変の前後の明智光秀と信長の日々、落ち武者狩りに殺されるまでの光秀の懊悩を描く映画のようなものだろうか。

アメリカでボブ・フォードがどういう評価をされているのか知らないので、これが新しい彼のイメージなのかよくわからないけれど、とにかく全編異様な緊張感に包まれている。
いつ殺されるか分からない緊張感。ちょっとしたジェシーの沈黙、いつもより少し長く見られているような間が何を意味するのか。疑われたのか。コーヒーをかき混ぜるスプーンが停まった時、窓の外を見ていたジェシーが振り返った時 何が起きるのか。息を詰めてその時を待つボブとチャーリーの緊張感ときたらたまらない。

さっきその国の人なら誰でも知ってるという例えで本能寺の変と言ったけど、信長に期待し、いつしかプレッシャーに押しつぶされ、いつ粛清されるか怯える光秀と言う意味ではまさにそんな感じなのかもしれない。

またこのチャーリー役の俳優さんが上手くて、場を和ませようとヘラヘラ笑ってるのに怯えが伝わる表情がとてもリアル。リアルすぎてクラスのいじめっ子にヘラヘラ調子を合わせたり、モラハラな夫の機嫌を損ねないように神経をすり減らしたり、パワハラ上司の言動にびくびくした経験がある人なら間違いなく追体験して気分が落ち込むのではないかしら。

ボブ役のケイシー・アフレックも怯えだけではない、わずかな憧憬が残るように感じる表情が、不思議な切なさをもたらしているように思えた。

とても長いけど重苦しさもすごいので、これ映画館で見たらものすごく疲れただろうな。私は二日に分けてみました。

あと英語版のWikipediaには主要キャストが演じた実在の人物の写真も載っているので、ちょっと似てるというのも楽しめる。
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